最高裁判所第三小法廷 平成9年(行ツ)198号 判決 1999年4月27日
東京都台東区松が谷二丁目一三番一三号
上告人
梶原工業株式会社
右代表者代表取締役
梶原徳二
右訴訟代理人弁護士
吉田裕敏
同弁理士
原田信市
門間正一
香川県観音寺市八幡町三丁目四番一五号
被上告人
株式会社サムソン
右代表者代表取締役
岡﨑弘明
右当事者間の東京高等裁判所平成七年(行ケ)第二二九号審決取消請求事件について、同裁判所が平成九年五月一四日に言い渡した判決に対し、上告人から上告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人吉田裕敏、同原田信市、同門間正一の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 金谷利廣 裁判官 千種秀夫 裁判官 元原利文)
(平成九年(行ツ)第一九八号 上告人 梶原工業株式会社)
上告代理人吉田裕敏、同原田信市、同門間正一の上告理由
一 原判決には、以下のとおり理由不備および判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背がある。
1 判断の遺脱(理由不備又は法令違背)
(一) 上告人は原審において、平成八年三月一九日に同日付準備書面(第二回)により、本件第一及び第二発明につき原判決摘示の各審決取消事由1乃至3の他に以下の取消事由を主張した(同準備書面八~九頁および一六頁)にも拘らず、原判決はその「第3、原告主張の審決取消事由の要点」に上告人主張の右取消事由を摘示せず、その結果右取消事由に関する判断を遺脱したものである。
(二) 上告人の主張した右取消事由は以下のとおりである。
本件第一及び第二発明は、ともに練りあん等の製品の製造に必要な煮詰め工程を適切に終了させ、良好な一定品質の製品を容易に得ることを技術的課題(目的)とし、かかる煮詰め工程では、含水率を所定の値にすれば常に良質の製品を得ることができるとの知見のもとに完成されたものであり、右各発明の特許請求の範囲に記載された技術的事項、即ち本件第一発明については、<1>加熱釜とこれに投入した材料の重量をロードセルを用いた秤量装置で検出すること、<2>その検出信号から演算して煮詰め工程中に材料重量を連続的に表示すること、<3>その重量により検出する材料の含水率が所定値に達した時に終了信号を出し煮詰め工程を終了させること、また本件第二発明については、<1>撹拌機を有する加熱釜を秤量装置のロードセルに支持させたこと、<2>その秤量装置の重量検出信号から演算して煮詰め工程中の材料重量を連続的にディジタル表示する表示機構、<3>材料の重量から検出される材料の含水率が所定値に達した時に終了信号を出す指示機構、<4>これらの表示機構および支持機構を有する制御装置を前記秤量装置に接続したこと、の各構成要件の有機的結合構成を要旨とするものであるところ、審決甲第一号証乃至同第六号証には本件第一及び第二発明に共通する右技術的課題(目的)も、右各構成要件の有機的結合構成も記載されていないし、これらを示唆するに足る事項も記載されていないので、本件第一及び第二発明は、審決甲第一号証乃至同第六号証に記載の技術的事項に基づいては、当業者であっても到底発明をすることができないと言うべきであり、これと相違する審決の認定、判断は誤っている。
(三) 上告人の(二)記載の取消事由の主張は、発明につきその進歩性、独創性を判断するに当っては、発明を個々の技術的事項(構成要件)に分解してそれぞれの進歩性、独創性を考察するに止まるのではなく、発明の技術的課題(目的)を達成するために各技術的事項(構成要件)をいかに有機的に結合して発明を構成したか、についての進歩性、独創性をも考慮すべきとするもので、上告人の本件第一及び第二発明の進歩性、独創性を理由とする審決取消事由の主張の重要部分を成すものである。
即ち、上告人の本件第一及び第二発明は、上告人が前記の技術的課題(目的)を達成するために、煮詰め工程では含水率こそが食品の品質についての最も重要な条件であることを突き止め、含水率を所定の値にして常に良質の製品を得るための工夫として前記各構成要件を有機的に結合する構成を案出したものであり、右各構成要件の有機的結合構成こそが本件第一及び第二発明の進歩性、独創性の中心を成すのであり、審決取消事由の主張の重要な柱となるのである。
(四) ところが、原判決は、審決が、本件第一及び第二発明と引用例発明とは、加熱調理に関し、材料の重量をロードセルを用いた秤量装置を使用して求めていることで一致し、<1>材料重量を演算しているか否か <2>材料重量の連続表示を特定しているか否か <3>材料の含水率による終了信号による工程の終了を特定しているか否かの三点で相違するが、その相違点は、いずれも当業者にとって格別の創意工夫を要せずになし得たことであり、本件第一及び第二発明は引用例発明と周知技術および甲第三号証~甲第七号証に記載された周知例一~五に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとしたのをそのまま認めて、「原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、審決の認定判断は正当であって、その他審決を取り消すべき瑕疵はない」との判断を示している。(原判決二一頁、一三~一五行)
すなわち、原判決は、本件第一及び第二発明について、各々特許請求の範囲第一項および第二項の記載内容全体をもって、それが推考容易であるか否かの判断をしていない。
換言すると、原判決は、本件第一及び第二発明における前記の各技術的事項(構成要件)の一連の有機的一体的結合構成には一切言及することなく、右の三相違点について、個別的にそれらの容易性を認定しているだけに過ぎないにもかかわらず、結論において、本件第一発明及び第二発明これら技術的事項の一連の有機的一体的結合構成の特許性(進歩性)を否定したものである。
特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されているものであり(特許法第三六条第四項)、その特許請求の範囲に記載された各技術的事項の一連の有機的一体的結合構成こそが真の発明であると認められるものであるから、その構成単位であるに過ぎない各技術的事項と公知または周知技術とを対比し、その各技術的事項が容易に想到できるかどうかを検討判断し、仮にそれが容易であるとしたとしても、そのことをもってただちに、右の一連の有機的一体的結合構成の発明までもが容易に発明できたとすることはできるものではない。
それは、如何なる大発明も、所詮は公知または周知の個別技術を、当該課題の解決手段として所定の作用効果を奏すべく、一つの統一された思想のもとに有機的に一体結合させて完成するものと認められることからして明白で、仮に、当該発明の構成単位である各技術的事項について個々に公知または周知技術からの想到の困難性を要するものとし、これが否定されれば、それだけで当該発明をすることまでもが容易であると結論できるとすると、特許を受けることのできる発明は存在し得ないことに通じ、特許制度そのものの存立を危うくするおそれがある。
(五) 従って、事実摘示欄に上告人の(二)記載の取消事由の主張を摘示せず、その結果、同取消事由についての判断および同判断を導く理由を遺脱した原判決には、理由不備又は判決に影響を及ぼすこと明らかなる民事訴訟法(同法一九一条一項三号、二項)の違背があると言わねばならない。
2 理由記載の不備(理由不備又は法令違背)
(一) 引用例に記載された発明すなわち引用例発明が、食品の煮込装置であり、それは加熱調理に関する技術に関するものであることにおいて、本件第一及び第二発明とわずかに共通性を有する唯一の証拠であること、さらに、引用例発明は、内容物の重量変化を管理することによって仕上げ時を知ることができ、製品の品質を一定に保持することを技術的課題としていることについては、被上告人も明らかに争わないところである。
したがって、加熱調理に関する技術が属する産業分野の平均的技術者すなわち当業者は、この引用例発明の開示と方向づけの中で何等かの教示もしくは示唆を受けるであろうことは想像に難くなくこれを否定する証拠はない。
(二) これに対し、甲第三号証~甲第七号証に記載された周知例一~五は、いずれも加熱調理に関する技術と全く異質でかけ離れた技術分野に属する。しかも、引用例には、その煮込装置を加熱調理に関する技術と異質でかけ離れた周知例一~五の技術と関連づける如何なる教示も示唆もなく、また、周知例一~五に、その記載技術を煮込装置等の加熱調理技術と関連づける如何なる教示も示唆もない。
(三) したがって、加熱調理に関する技術というごく限られた特定の加熱調理装置を取り扱う技術者が、内容物の重量変化を検出し、その変化管理で煮込仕上げ時を正確に定め、製品の品質を一定に保つことができるようにすることをきわめて抽象的に開示しているに過ぎない引用例記載技術すなわち引用例発明の内容の変更を考え、その変更の内容を、とりわけ解決課題および構成ならびに作用効果の諸点に関して何の記述もしておらず、しかも、煮込装置とあまりにもかけ離れている周知例一~五に求めることは、困難というよりは不可能というべきことに属する。
(四) してみると、引用例発明と周知例一~五とを関連づけるべき具体的事実の存在が立証されていないにもかかわらず、相互に関係の無い技術分野における引用例発明と周知例一~五の存在だけを根拠に、結果論的に「本件第一及び第二発明と引用例発明との相違点は、いずれも従前の周知技術及び周知例一~五に記載された周知の技術事項を採用することによって、容易に到達できる範囲内のものである」というのみで、そのように判断した根拠を証拠による認定事実に基づいて具体的に示していない原判決は、主文に至る理由においては特段の事由がない限り当該判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示すべきとする最高裁判所の判例(昭和五四年(行ツ)第一三四号、昭和五九年三月一三日第三小法廷判決)に照らし、理由の記載に不備があると言うべきであり、右は原判決に理由不備があるか、又は法令(民事訴訟法第一九一条一項三号)違背があり同違背が判決の結論に影響を及ぼすこと明らかな場合に該当するものと言える。
3 経験則違反および法令解釈の誤り
(一) 取消事由1の事実認定に関する経験則違反
(1) 原判決は、「煮詰め」と「煮込」に関し、「原告の主張は、一般的用語としての「煮詰め」と「煮込」の差異に拘泥し、引用例発明と本件第一及び第二発明において、「煮込」工程と「煮詰め」工程とが有する技術的意義を忘れた主張であって、もとより採用できない」(原判決一六頁一四行~一七行)とし、理由として「煮込」工程と「煮詰め」工程とは「ともに材料と水分を合わせて加熱調理する工程であり、この場合、引用例発明の「煮込」工程においても、加熱調理する間に水分の蒸発により煮込釜内容物の重量の変化を生じ、煮込の仕上げがこの内容物の重量の変化に対応すること自明というべきであるから、引用例発明の「煮込」と本件第一及び第二発明の「煮詰め」とは、両者において水分の蒸発量の多寡において相違するとしても、加熱釜内に投入した材料を加熱調理する方法であることにおいて変わりなく、・・・・・・同様の技術である」と判断している。(原判決一五頁一七行~一六頁九行)
(2) しかし、煮込製品は、その調理工程中に加水したり煮汁を加えたりすることによって材料時よりも水分を多くすることがあり、さらに煮込工程には、水分を蒸発させない加圧型の煮込釜を使用することもあるが、その場合、当然のことながら煮込製品の水分が当初にくらべて少なくなることがない。
これに対し、煮詰め製品では、その調理工程中に必要に応じ加水したとしても、常に材料時にくらべて仕上がった製品の水分が少なくなるように加熱調理されるものであって、反対に製品の水分を多くするような加熱調理がなされることがない。したがってまた、煮詰め工程においては、水分を蒸発させない加圧型の加熱釜を使用することはできない。
(3) すなわち、「煮込」は、加圧型加熱釜の使用時において顕著であるように加熱により材料水分を最終的に変化させるとは限らない調理法であるが、「煮詰め」は加熱により材料水分を最終的には常に少なく変化させる調理法であって、両者はその調理の原理を基本的に異にする。
料理の専門書たとえば大日本印刷株式会社一九七七年七月一〇日発行「「仏英和料理用語辞典(改訂版)」がその第二三六頁および第二三七頁で「煮込むこと」を「stew」、「煮詰めること」を「reduce」と翻訳解説しているが、右の事柄を象徴的に物語っているということができる。
(4) したがって、原判決がいうように、引用例発明の「煮込」が、本件第一及び第二発明の「煮詰め」に相当するなどと軽々に結論できるものではなく、原判決は、「煮込」と「煮詰め」の真の技術的意義を看過し、経験則に違反して事実を認定したものであり、右経験則違反により判決に影響を及ぼすこと明らかな場合に該当する。
(二) 取消事由2相違点(2)についての法令解釈の誤り
(1) 原審は甲第三乃至第五号証に記載された「ロードセルを用いて重量の計測を行う場合に、計測された重量を連続的に表示する」もしくは「連続的にディジタル表示する」との周知技術は、ロードセルを用いて物体の重量変化を計測する場合の一般的、汎用的な技術事項と認められるから、ロードセルを用いて食品の加熱調理中の材料重量の変化を計測しようとする場合に、当業者が右周知技術を適用することにつき格別の困難はない旨認定している。(原判決一八頁一七行~一九頁九行)
(2) しかし、発明の進歩性の判断においては、出願当時における周知技術を含めた技術水準を勘酌すべきであるが、引用例のものに一定の周知技術を適用して出願に係る発明の構成を得ることが容易であったと認めるためには、当該周知技術が適用上の適性のあるもの(そのような適用をするに適した内容のもの)で、且つ当該周知技術を適用して出願に係る発明の構成を得ることが、技術的合理性の見地からみて可能であり、相当であることを前提条件とし、周知技術が適用上の適性がある技術というためには、引用例のものおよび出願に係る発明と技術分野を異にしないものであり、技術思想的にこれらの発明に近接し、これと共通の要素を持つものでなければならない。(昭和六一年一〇月二三日東京高裁第六民事部判決昭和五八年(行ケ)第一九号)
(3) 仮に原判決の言うように(1)記載の周知技術がロードセルを用いて物体の重量変化を計測する場合の一般的、汎用的な技術事項であるとしても、本件第一及び第二発明の出願時以前には煮込調理等の加熱調理において調理中の材料重量を連続表示するという考え方そのものが知られていたことではなく、このような考え方を公表したのは上告人の本件第一及び第二発明の出願を嚆矢とするものであるから、右周知技術は技術思想的に引用例発明に近接し、これと共通の要素を持つものとは言えず、引用例発明に適用上の適性を有するとは言えない。
(4) 従って、原判決が(1)記載の周知技術の引用例発明への適用上の適性に何らの考慮を払うことなく、単に同周知技術がロードセルを用いて物体の重量変化を計測する場合の一般的、汎用的な技術であることのみを理由として引用例発明への適用を認めたことは、特許法第二九条第二項の解釈を誤り、右誤りにより事実を誤認したものであり、原判決には判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背があると言える。
(三) 取消事由2相違点(3)についての法令解釈の誤り
(1) 原判決は、甲第六号証および甲第七号証に記載された「ある工程を進行させる場合に、その工程が終了されるべき状態にいたると終了信号を出すこと」またこのような終了信号を出す指示機構をその装置に設けるとの周知技術はその技術内容からして汎用的なものであることは原審裁判所に顕著な事実と言うべきであり、また右周知技術はいずれも籾を含む穀物の乾燥、すなわち食品材料における水分(含水率)の減少の管理及び制御を技術課題とするもので本件第一及び第二発明と技術分野を全く異にするものとは認められないから、引用例発明に右の如き極めて一般的な周知技術を適用することは当業者にとって格別の困難性を有するものではないと認められる旨認定している。(原判決一九頁一四行~二〇頁一五行)
(2) しかし、甲第六号証、甲第七号証に記載された技術が原判決の認定するような汎用的な周知技術であるとしても、(二)2に前述のとおり、引用発明に右周知技術を適用して本件第一及び第二発明の構成を得ることが容易であると認めるためには、右周知技術が適用上の適性のあるものであることを要するところ、本件第一及び第二発明の出願時以前には、煮込調理等の加熱調理において、含水率が所定値となるような材料の重量を予め設定し、材料重量がその設定値となったときに終了信号を出して煮込工程を終了させるという考え方そのものが知られていたことでなく、このような考え方を公表したのは上告人の本件第一及び第二発明の出願を嚆矢とするものであるから、右周知技術は技術思想的に引用例発明に近接し、これと共通の要素を持つものとは言えず、引用例発明に適用上の適性を有するものとは言えない。
(3) 従って、原判決が(1)記載の周知技術の引用例発明への適用上の適性に何らの考慮を払うことなく、単に同周知技術が汎用的な技術であることのみを理由として引用例発明への適用を認めたことは、特許法第二九条第二項の解釈を誤り、右誤りにより事実を誤認したものであり、原判決には判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背があると言える。
(四) 取消事由3についての法令解釈の誤り
(1) 原判決は本件明細書(甲第一六号証)に記載された作用効果は、いずれも引用例発明に従前の周知技術および甲第三~第七号証に記載された周知の技術事項を採用することにより容易に到達できる範囲のものであり、格別のものとは認められないとしている。(原判決二一頁一行~一二行)
(2) しかし、本件第一及び第二発明は、煮詰め工程中に連続的に表示する材料重量により検出する含水率が所定値に達した時に終了信号を出して、その煮詰め工程を手動又は自動で終了させることができ、材料の仕込み重量と煮詰め製品重量のチェックを容易に行うことができ、また煮詰め工程中の材料変化を見て加熱具合や煮詰め工程の終了時期を容易に判断でき、良好な一定品質の製品を容易に得られる等の作用効果を奏するのに対し、引用例発明、従前の周知技術および甲第三~第七号証記載の周知の技術事項のいずれを精査しても、練りあん等の食品の製造に必要な煮詰め工程自体について触れるところがなく、これらの発明、周知技術、周知の技術事項を総動員しても本件第一および第二発明の右作用効果を奏し得るとは到底認められない。
(3) これは原判決が(二)、(三)記載のとおり特許法第二九条第二項の解釈を誤ったうえで、この誤った法令解釈に基づく取消事由2相異点(2)(3)についての誤った事実認定を前提として、本件第一および第二発明の作用効果を判断したことにより、右作用効果についても事実を誤認したものと言える。
よって、原判決には判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背があると言える。
二 結語
以上により、原判決には理由不備および判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令違背の存することは明白であるから、速やかに原判決を破毀したうえ、特許庁が平成六年審判第二一七五九号事件について平成七年七月二八日にした審決を取消し、訴訟費用は原審、上告審とも被上告人の負担とする旨の判決を賜りたい。
以上